「ああ、洪蓉さんに声かけちゃったよ」
スタッフの中野は心の中でそう呟いた。
この日私達は、神奈川の山間部にいた。
ある著名な気功の先生が主宰する、
ワークショップへ誘われて参加するためだ。
その先生はワーク中、余興で参加者を
「気」で倒すということをしていた。
先生に触れられた参加者は、
逆らおうとしてもフニャフニャと
力が抜け、簡単に倒れこんでしまう。
もちろん抵抗していいというルールだ。
「倒れないように、踏ん張ってて下さい」と。
そして、先生が次に指名したのが
洪蓉さんであった。
「こういうので倒されたことないんです」
と洪蓉さんは言った。
あ、なんかまずい雰囲気だなと、
私は思い始めた。なぜなら洪蓉さんは、
いわばリトマス試験紙のような
人だから。それは、洪蓉さんと接した
相手の反応によって、その人が
本物かどうかがわかってしまうのだ。
先生とかマスターとか呼ばれる人の
メッキが剥がれ落ちた時のエゴの
反応は、大体2パターンにわかれる。
体裁を保つために怒りはじめるか、
メッキを剥がされないよう
気を使いはじめるかだ。
ちなみに、ある医師が書いた
『気の人間学』という本には「気」の
力比べでは、その質と量が大きい方が
勝つと書かれている。さてこの勝負やいかに……。
先生が洪蓉さんを倒しにかかる。
しかし、洪蓉さんはビクともしない。
次第に先生の顔が赤くなり
こわばってきた。そして、「気」で
倒すはずが、とうとう力任せに
なっていることが傍目にもわかる。
先生が力を振りしぼる。
先生の体のどこかの関節がボキボキと
音を立てたと同時に、洪蓉さんが
一歩後ずさった。もはや男性の
女性の力比べだった。
洪蓉さんが言う。
「今のは、力で押してますよね?」と。
他の参加者の手前、先生は断固として
それを認めない。それどころか、
あなたは「頑固な亀だ」と怒って、
洪蓉さんを、ダメな人扱いし始めてしまった。
もはやエゴが自分を守ろうと
フルスロットルである。
そう、私が恐れていた展開になってしまった。
まあ、こういう反応になってしまうのも
無理もない。先生だって自分が
「気」で倒せない相手が参加して
いることなど全く想定していないのだ。
しかし、洪蓉にとっては、
完全にもらい事故である。
相手から誘われた挙句、ダメ人間扱いとは……。
一方、こんな先生もいた。
著名なコピーライターと共著を出版して
いらっしゃる先生で、その本を読んだ私が
「面白そうだから参加しましょう」と
洪蓉さんを誘ったのだった。
そのワークの内容は、瞑想に近い。
参加者が寝転んでいる間、
先生がお経のようなものをあげる。
通常参加者は、深い変性意識状態に入り
眠りに落ちてしまうのだった。
しかし、洪蓉さんの反応は違っていた
らしく、「私はいつてもどこでも
寝れる人なのに、今日ここでは
横になっている間、逆に意識が冴えて
しまい全く眠れなかったんですけど、
私、根性が捻くれてるんですかね?……」
と先生に言う。
あ、なんかまずい雰囲気だなと、
私は思い始めた。なぜなら洪蓉さんは、
リトマス試験紙のような人だから。
するとその先生があっさり言った。
「それはね、私よりあなたの方が、
意識レベルが高いからですよ」
世辞でも気を使った言葉でもなかった。
素直にそう言っているのだ。
「ああ、この方はすごい人だ。
エゴが反応していない」
そう私は思った。私はその言葉に、
先生の器の大きさを知った。
ああ、この人は本物に違いない。
本物同士ゆえ
お互いの大変さを理解できるのか、
エゴから自由な者同士、
共感するものがあったのか、
ワーク終了後、先生と洪蓉さんは、
まるで旧知の友達同士のように長い間、
たのしそうに話をしていた。
さて、そんな洪蓉さんの
3泊4日のワークショップが
11月に開催されます。
このところワークショップに
参加した方々はブリタの浄水器から
出て来た水のようにいい感じに
ろ過されていることが報告からわかります。
純度が増した人はリトマス試験紙にも
反応しなくなってきているようです。
こちらで申込み受付を開始しました。
【ワークショップ概要】
日 程:2017年11月2日(木)~ 5日(日)
定 員:20名
場 所:千葉県南房総市(参加者に別途お知らせいたします)
参加費:81,000円
お申込みの後、お振込先をお知らせ致します。
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